家だけでなく、庭にも目を向けよう
『GARDEN&EXTERIOR 庭の緑が暮らしを彩る。』

その家にふさわしい庭づくり

ふと目にとまって「家はとっても素敵なのに、どこか殺風景で寂しいな」と感じたことはありませんか。それはもしかしたら庭やエクステリアのせい…?

「家づくり」というと、「リビングは吹き抜けで、キッチンはやっぱりオープンキッチン!」と建物ばかりを指す場合が多く、ほんとうはその家全体の住み心地までも大きく左右する、外まわりの空間づくり、つまり庭や外構までトータルにプランニングすることがまだまだ少ないのが現実です。建物にしっかり予算を回してしまい、残った分で「とりあえず外構を」これも仕方のないことかもしれませんが、やはりそれぞれにこだわってつくった家には、その家にふさわしい庭があります。

たとえば少しだけ木を植えて、アプローチ周りをレンガや草花で飾るだけでも家の雰囲気も住み心地も、もちろん外観も驚くほど変わります。たとえネコの額の庭だって家族が楽しむ有効なスペースに十分なりますし、その空間があるだけで毎日家に帰って来るのが断然楽しくなるはずです。

家の景観をつくるのは建物ではなく、近隣や道路につながる庭・外構で、庭や外構は言って見れば「家の洋服」。「庭や外構は家づくりの最後の仕上げ」そう考えて、トータルにデザインすることが大切です。何気なく外を見た瞬間に窓越しに見える庭の緑、そんな風景にきっと心癒されることでしょう。

街並み、景観としての庭づくり

その家の雰囲気にふさわしい庭や外構は、その家の外観をグレードアップさせるだけでなく、その家を取り巻く街の景観も変えてしまうという重要な役割も果たします。「緑の心地よさ」を感じる家が一軒あるだけで近隣の景観も変化し、お隣さんや通りすがりの人にもきっと喜ばれます。みんながそんな一軒を目指して家の景観づくりを考えたら、毎日そこを通る人や子供たちも季節感を感じられる素敵な街並ができるでしょう。

最も身近な自然

建物は完成した時が一番きれいですが、庭や外構は案外違うもの。木々が成長していくのはもちろんですが、年々趣が深まっていく景観づくりを意識したデザインや素材選びによって、1年、5年、10年と年月を経るごとに雰囲気も増していきます。また成長し木陰をつくってくれる木々のある庭は、暑い夏には外気温とは2~3度も低い天然クーラーのきいた爽やかな空間をつく出します。節電がさけばれるこの季節、エコにも一役貢献できるのではないでしょうか。

緑のあるそんな庭は、子供たちが自然と自然に触れ合える空間。土いじりや花を植えたり、自然に集う小鳥や虫たちを観察したり…。大人にとっての癒しの空間は、親子で触れ合うコミュニケーションの場となり、子供たちにとってもワクワクする楽しい空間となるでしょう。

庭づくりを考えるタイミング

庭や外構っていつ頃頼めばいいのでしょう。とかく家を建てている間は、建物のことで頭が一杯になってしまいますが、家に似合うプランをつくるには、家全体の風合いや外観はとても重要なポイント。

新築なら建物の外観がある程度完成してから、またはそこにしばらく住んでからがいいでしょう。建物の設備工事で掘った穴がまだ落ち着いていない場合や、住んでみて初めて気がつく環境、風が強い、隣家の視線が気になる、西日がきつい、雪が溶けない、など実感してみる必要もあります。

庭もリフォーム

「外構や庭は自分でつくりたい!」という方もいるかと思います。もちろんその気持ちは分かりますが、ただそうはいってもそこは素人。プロの施工やプランとはかなりの差があるようです。ウッドデッキが沈下してしまったり、凍害でボロボロになっちゃったりと、お金を浮かせるはずの自力の施工が、かえって必要以上にお金を掛けてしまう結果にもなりかねません。木の選び方ひとつにしても、寒さの厳しい信州の冬に適した木は意外と少ないそうです。せっかくこだわって建てた家を最後の最後で台無しにしないためにも、外まわりの施工はやはりプロにお任せし、あとの草花の植え込みなどを楽しんではいかがでしょう。

実はもうやってしまったという方や、今の外構や庭がどうもしっくりこない、家に合っているのか不安だ、という時も一度相談してみましょう。家同様、庭・外構もリフォームできます。庭を変えるだけであなたの家も見違えるかもしれませんよ。

さあ、外に出て少し離れたところから自分の家をゆっくり眺めてみませんか。

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「常に自然を感じながら生活したい…」というのが施主様の家づくりでのスタンスでした。そのため市街地であってもエクステリア的な固い質感やデザインは避け、もうずっと前からそこにあったかのような全体の佇まいにもこだわりながら、家との調和が図れた外回りの景観です。植栽もコナラやナナカマドなど信州の里山をイメージして植栽しています。

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このお宅は敷地いっぱいに建てられた家。そのためエントランス付近を飾るだけのスペースも当初厳しい印象を受けましたが、元々あったシンボルツリーからデザインを広げ、道路から“たった3歩"で玄関ポーチにたどり着くとは思えない「凝縮されたエントランス」となりました。たとえ30cmの小さなスペースでも樹木や植物がしっかりと成長しています。

取材・写真協力/garden & exterior GARDEN FACTORY