家づくりお金塾

人生で一番高価な買い物は「住宅」といわれています。その「住宅」の購入“個人の夢”を実現するために多くの方が住宅ローンを組まれますが、次のような心配の声もよく耳にします。
「病気やケガで長期入院して収入が減少したとき住宅ローンの返済ができるか心配」、「住宅ローン返済のため将来に向けた貯蓄にお金が回せない」、「最近は景気があまり好くないので、リストラや収入減が心配」…などなど。そこで今回は、スムーズに住宅ローンを返済するための生命保険の見直しポイントをみてみましょう。

1.団体信用生命保険を理解しよう!

団体信用生命保険(通称「団信」)は、住宅ローンの返済途中で死亡、高度障害になった場合に、本人に代わって生命保険会社が住宅ローン残高を支払うというものです。金融機関が、ローン利用者をまとめて生命保険会社に申し込むもので、保険料も安く、また加入時年齢による保険料の違いなどもありません。
民間の金融機関の多くは、この団信の加入を住宅ローン借入の条件としています。この場合は、保険料は銀行負担となり、保険料支払は発生しません。ただし、健康状態が良好で、生命保険に加入できる状態でないと住宅ローンも借入できません。当初借入時のみならず、借換えの際も同様となるので、健康でいることは、より良い住宅ローンを借り入れるためにも必要なことです。

一部の民間金融機関とフラット35では、団信への加入が任意となっています。フラット35を借入し、団信に加入する場合には、特約保険料を住宅ローンの返済額とは別に年に一度支払います。特約保険料は残高によって決まり、1,000万円あたり年間36,000円。また、夫婦が連帯債務者になっている場合には、二人で加入できる「デュエット」があります。夫婦のどちらか一方の加入者が死亡または高度障害状態になった場合には、住宅の持分や返済額等にかかわらず、残債務が全額返済されるというものです。下図のように団体信用生命保険に加入すると、万が一の際、遺された家族のための住居費用相当額は確保したことになるので、一般の生命保険加入時は保険金額を下げられる可能性があります。

フラット35の仕組み

2.必要保障額を理解しよう!

必要保障額とは、万一のことがあった場合に生命保険でどのくらいカバーしておけばよいかという金額です。例えば、家族を養っていた父親が亡くなった場合、その後の妻の生活費や子どもが自立するまでの生活費・教育費などの諸費用総額が、必要保障額となります。
必要保障額の基本的な算出方法は、多くの家庭に当てはめて考えられるように、色々と細かい部分を排除した画一的なものになっています。たとえば、「生計を立てていた者がなくなった後の生活費は、一律これまでの70%」「子どもは23歳で独立」「子どもが独立した後の生活費は一律現在の50%」など、簡単な条件の下に計算されています。これでは、曖昧な部分が多すぎて本当にこれが必要な金額とは言い切れません。そこで、基本的な必要保障額の算出方法に、「現在所持している家や車はどうするか」「どこに住むか」「母子(父子)家庭になったことで受けられる公的補助はどれくらいか」「団信で住宅ローンは清算されるか」など、各家庭の状況を考慮して、修正を加えると、より現実的な必要保障額を計算することができます。

<遺族生活資金の計算方法>

  1. 末子が大学を卒業するまでの生活費=現在の生活費×70%×(22歳−末子の年齢)
  2. 末子卒業後の妻の生活費=現在の生活費×50%×(末子22歳時点の妻の平均余命)
  3. 必要生活資金=(1)+(2)+子どもの教育費や予備資金など

<遺族の収入・現在の貯蓄>

  1. 夫の遺族年金や、妻の老齢年金などの公的年金収入
  2. 勤務先から支給される死亡退職金・弔慰金・企業年金など
  3. 夫死亡後に妻が働く場合に得られる給与収入など
  4. 今後の収入=(4)+(5)+(6)

必要補償額は以下のとおり求められます。

必要補償額=必要生活資金(3)−(今後の収入(7)+現在の金融資産)

通常、必要保障額は下図のような右肩下がりの三角形になります。

フラット35の仕組み

このように、保障の形もご自身で算出した必要保障額に合わせることで、合理的な保険が実現します。

フラット35の仕組み

3.長期就業不能時の住宅ローンを理解しよう!

住宅ローンのご契約者が死亡ではなく、病気やケガで長期に仕事ができない状態になったらどうでしょうか。この場合は、死亡や高度障害以外ですから、残念ながら団体信用生命保険では保険金支払の対象外となります。病気やケガが長引いて長期就業不能となった場合、毎月の住宅ローンは誰が返済するのでしょうか?短期間であれば預貯金等を取り崩して何とか乗り切れても長期間の返済となれば大変なことですね。長期就業不能となった場合、傷病手当金などの公的制度を含めて考えてみましょう。

  1. まず有給休暇(最長40日程度)を消化します。その後は欠勤となり、欠勤が一定期間続くと休職になります。会社によっては欠勤時の賃金保障制度がある場合もあります。
  2. 次に、健康保険から傷病手当金(1日あたり標準報酬日額の3分の2)が最長18ヵ月間支給されます。健康保険組合からの給付の場合には、付加給付や延長給付がある場合があります。
  3. その後、重度障害認定(1級〜3級)を受けた場合には、障害基礎年金(国民年金)や障害厚生年金(厚生年金)を受給できる場合があります(3級には障害基礎年金はありません)。

いずれも、治療中の給付はなく症状が固定してからの給付となります。

フラット35の仕組み

このように、長期就業不能となり収入が減少しても、スムーズに住宅ローンが返済できるように日頃から貯蓄したり、医療保険や収入補償保険等で準備しておくことが必要になります。

4.保険料のコストダウンをしよう!

保険の見直しをするには、まず次のポイントに重点をおいて考えてみましょう。

  1. 団体信用生命保険で住宅費は解決できる。
  2. 各家庭に合った必要保障額を計算する。
  3. 公的資金等で生活費の一部は補える。
  4. 不足する毎月の生活費を重点に保険を考える。
  5. 長期就業不能時の対処法を考える。

以上のポイントで保険の見直しを行えば、自分に合った保険に加入することができます。保険の見直しで一番大事なことは、お客様の立場に立って考えてくれる、信頼のおける保険の営業職員とお付き合いすることです。また、保険は入りっぱなしではなく、ライフイベント(出産・住宅の購入・車の購入等)に変化があったときにはその都度見直しすることをおすすめします。人生で一番高価な買い物は「住宅」といわれています。その「住宅」の購入“個人の夢”を実現するために多くの方が住宅ローンを組まれますが、次のような心配の声もよく耳にします。

「病気やケガで長期入院して収入が減少したとき住宅ローンの返済ができるか心配」、「住宅ローン返済のため将来に向けた貯蓄にお金が回せない」、「最近は景気があまり好くないので、リストラや収入減が心配」…などなど。そこで今回は、スムーズに住宅ローンを返済するための生命保険の見直しポイントをみてみましょう。

監修/メットライフ アリコ
アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー
しなのエイジェンシーオフィス コンサルタント 丸山 肇さん

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