リフォーム術

薪ストーブのあるナチュラルモダンな空間。

日本に薪ストーブが輸入・販売されるようになって約30年。従来のクラシックな雰囲気の他に最近ではガラス面を大きくとったモダンなデザインのストーブも増え、より一層炎を楽しむことができるようになりました。心地良い暖かさはもちろん、単なる暖房器具としての魅力以外にも癒しのインテリアとしての薪ストーブ。また信州の厳しい冬では乾燥機代わりにもなるんです。外に干したら凍ってしまうような氷点下の日、洗濯物を室内干しでカラッと乾かしてくれる心強い味方です。インテリアのようにさりげなく日常の暮らしに似合う薪ストーブを見つけてみませんか。

性能を引き出すために大切な設置法。

一般に薪ストーブは吹抜け空間の暖房に適していると言われていますが、暖かい空気は上昇するので必ずしもそれが全てではありません。

薪ストーブを検討したいなと思ったら、設計段階でどの場所に設置するのが効果的なのか、専門業者とよく相談しましょう。お話を伺ったヤマショーさんでは、既存住宅の場合は現場調査+見積りまでは無料とのこと。気軽に相談して、不安や疑問点は事前に解決しておくとよいでしょう。とかく本体ばかりに関心が向きがちですが、煙突+施工の費用も疎かにでないので、トータルでの予算立てが必要です。

また、欧米の薪ストーブ先進国では暖房効率や排ガスなどに厳格な基準があり、政府の認可を受けたストーブでなければ販売できないという国もあります。残念ながら日本にはまだそのような基準がないので、中には質の悪い薪ストーブが販売されている場合もあります。また薪の手配など、設置後も長いお付き合いになるので、安心できる業者から購入することが大切です。ヤマショーでは、「ガラスが汚れないように温度計とダンパーの組合せをお勧めしています」とのことです。

薪づくりも楽しむライフスタイル。

一般的に薪には広葉樹が向くとされていますが、信州に多いカラマツなどの針葉樹も乾燥さえしっかりすれば薪材として使えます。(但し火力や火持ちは広葉樹には劣るそうです。)乾燥には最低でも約半年を要するので、11月から薪ストーブを使い始めるとすると、梅雨が始まる6月までには割った薪を用意しておくとよいでしょう。

薪を一冬分購入する場合、原木だと6万5千円から10万円、割った薪だと12万円から15万円くらいかかるので、間伐材を利用したり自分で薪作りをするなど、なるべくコストを下げましょう。薪割機などをレンタルできるショップもあるので、家族で協力して行えば楽しい作業に。保管には日当たりと風通しのよい場所が適しています。(洗濯物の干せる場所をイメージして下さい。)薪小屋に屋根があれば雨で薪が黒く変色するのを防げますが、雨で薪が濡れても大丈夫。一度伐採した木に降った雨などの水分は中までは浸透しません。表面排水で流れてしまうので、一晩ストーブの横に置いておけば翌日には使えます。

ストーブ料理を楽しむ。

暖房の他に、調理器具としての機能を持つ薪ストーブ。薪ならではの味や香り—。アウトドアクッキングの楽しみを室内でも味わうことができる薪ストーブは、暖房の熱を利用するため、調理のためのエネルギーがゼロなのも魅力。料理に活用してこそ、その機能を活かすことにもなる薪ストーブは、輻射熱がいつものメニューをひときわ美味しく仕上げてくれます。炊飯はたったの10分、パンもピザもあっという間に出来上がり。もちろん焼き物、煮物も素材の旨味を封じ込めて最高の味わいに。

これだけは知っておきたい薪ののこと。

薪ストーブにとって燃料となる薪はとても大切です。薪の種類によって、火のつき具合、火力、火持ちなどが違いますし同じ種類の薪でも、乾燥の度合いによって燃え方が違ってきます。薪ストーブを極めるには、まず薪を知ることから始めましょう。

おすすめは広葉樹

薪は、各地の森林組合や燃料販売店、ストーブショップなどで販売していますし、最近はネットでも注文できるサイトがあります。市販の薪材として主流なのはナラ。ナラは炭にもなる昔からの薪炭材で、堅くて火持ちがいいのが特徴です。ただし、乾燥しにくいので注意が必要。乾燥期間の目安は薪割り後1年です。

乾燥させるとは、原木を切って、割って、積んで、寝かせること。十分乾燥していないものを燃やしても火がつきにくく、さらに煙突を傷めたり、煙道火災の原因にもなってしまいます。十分に乾燥させた薪は、火持ちもよく火力も十分。厳寒期でも、ストーブ本来の性能を十分に発揮することができます。火持ちや火力を重視するならナラやクヌギです。でも信州ならいろいろな木があります。地元の農家などに声をかけておくと、剪定したリンゴの木などを譲ってもらえる場合もあります。リンゴの薪なら、ナラほど火力はないものの、燃やすと甘いリンゴの香りがします。またカラマツも入手しやすい種類です。燃料としての性能ばかりではなく、入手しやすいものであることも重要です。この他にも、シラカバ、クリ、サクラ、マツ、スギ…。それぞれの樹種によってその長所、短所があるので、特徴に合わせて焚き方を変えることが大切です。

十分に乾燥させた薪を使いましょう。

十分に乾燥していない、薪自体に水分を多く含んだ状態では、なかなか思い通りの温度には達してくれません。この状態を薪ストーブの燃焼室で続けていくと、薪の有機物が熱で分解されて発生する可燃ガスが燃えにくくなり、不完全燃焼になってしまいます。不完全燃焼が続くと、タールが多く発生します。また温度が上がらないままでは二次燃焼も有効に働かず、いつまでも暖かくないことになります。十分に乾燥させることで、燃焼による不純物の発生を抑え、薪ストーブ本来の性能を十分に発揮させることが大切です。