家はリフォームで蘇ります。不便さや老朽化をリフォームで改善し住み続ける方が、
愛着のある家を解体して新築するよりも費用の負担が軽く、計画的に行うことで引っ越しを避けることも可能です。
また、メンテナンスを兼ねた小さな改修を定期的に行い、家の寿命を延ばすなど、リフォームのメリットはいっぱい。
ただリフォームに成功するためには、いくつかの大切なポイントもあるようです。
専門家の意見を参考に、我が家にふさわしいリフォームの夢を膨らませてみませんか。
昭和56年(1981年)がひとつの判断基準です。この年に建築基準法が改正され、新耐震基準が適用になりましたから法律的にはっきりした目安ということになります。この年以降に建築確認申請された建物でしたら、リフォームで対応できると考えていいでしょう。
リフォームというのは、キッチンやお風呂などの水まわりの改修やライフスタイルの変化に合わせた間取りの変更など、どちらかというと表面的なものです。構造や基礎にまで手を入れるとなると、工事が大がかりになって費用もかかります。
となると、耐震基準のなかった昭和56年以前の建築であったら、費用や構造上の耐震を考えると、思い切って新築した方がいいということになります。構造部分は外見から判断することはできませんから、建築年を目安にするしかありません。なお、これは在来工法の場合で、伝統工法の家はこの法律の適用外になります。それから、平成12年から耐震基準がさらに厳しくなっていますので、この年以降の建物ですと問題無いと思われます。
そうですね。「骨組をいかせばリフォーム」くらい大胆に思って全体をイメージしてみるといいかもしれませんね。リフォームというと、やはりキッチンなどの水まわり等、部分的な改修を思い浮かべる方が多いようですが、全体像にまでイメージを膨らませる方がいいですね。全体をイメージしてから予算やスケジュールという実情に合わせて調整するのが成功の秘訣だと思います。
例えば「この壁を取り払ったらどうだろう」など、自由に考えてみることです。リフォームだと思うと制約されるので、新しい家を建てるつもりで楽しく想像するといいと思います。あるいは早急にキッチンを修繕する必要があるとしても、もう少し範囲を広げて見渡し、間仕切りを外して広いLDKにしたらどうかとか、寒さ暑さや対策に窓も取り替えたらもっと快適になりそうだ、とか。
窓の断熱改修などは住宅版エコポイントの対象にもなるので、検討しみるのもいいと思いますよ。
楽しんでこそいいリフォームを実現できるのですが、確かに、相談できる専門家がいないと難しいことは多いですね。
親身になって相談にのってくれる人を探す。これが一番です。まず友だちや親戚など身近な信頼の輪の中に、建築士や施工業者など専門家がいるかどうか探してみて下さい。直接の心当たりがなかったら友だちの友だち、という風「信頼」を核にして輪を広げていく。あとはホームページや雑誌を見たり、自分で情報収集して勉強することが大事です。
信頼できそうな専門家を見つけたら過去の作品とか、実績を見せてもらいましょう。技術やセンスを見るだけでなく、お施主さんとの信頼関係を保っているかどうかも、こういうところで分かりますし、ここが結構重要なポイントでもあります。末長くお付き合いできる業者さんを選んでください。
たくさんあります。まず贈与税非課税枠が1500万円に拡大されましたから大きな工事を親の援助で、という方にはチャンスです。この金額は来年縮小されてしまいます。住宅版エコポイントもリフォームに有利な仕組みになっています。外壁や床、窓の断熱改修で何ポイント、それと一体で行う手すりの設置などのバリアフリー改修工事で何ポイント、というように個々の工事にポイントがつくようになっていますからね。
エコポイントなど、政府のCO2削減への取り組みに後押しされる形で、住宅性能を高める優れた新製品が登場しているのも、今リフォームをおすすめする理由のひとつです。
キッチンや水まわりのリフォームはよくありますので、イメージし易いでしょう。 例えばサッシの性能は非常に高くなっています。結露でお悩みの方は多いと思いますが、窓、壁材、天井材を変えることで改善されますよ。
リフォームで断熱性能を改善すれば、冬暖かく夏は涼しい家で、一年中快適に過ごせるようになります。シニア世代には、特に冬の部屋毎の温度差を解消すれば、安全や健康面でも安心です。
また太陽光発電も、少し前まではコスト面でなかなか導入に踏み切れない方も多かったと思いますが、今は随分実用的になってきましたので、環境問題も含め設置のメリットはあると思います。
そうでしょう。人と話すことでアイデアも浮かびますから交流の機会をたくさん持ち、そこから良質な情報を収集し学ぶことが大切です。日頃から専門家による勉強会などをチェックして参加、知識を得ておくといいでしょう。良心的な業者なら、具体的な仕事が発生するまでは無料で相談にのってくれるはずですから、専門家と親しくなって活用するのが賢い方法だと思います。
建てた時が愛着のピークで、後は手入れを怠っている方が残念ながら多いように感じます。できれば「新築記念日」を決めて、年に1度は家の点検をするのが望ましいですね。住み始めた時から、将来もずーっと快適で心地よく暮らせる。そのためにも、気になるところや不便が出てきたら」細かなリフォームをする。そして進学や就職、結婚など、家族構成やライフスタイルが変わった時は、大きなリフォームのチャンスですね。マンションだったら管理費を払うように、自宅のリフォームに備えて月1万円ずつ貯めていくというのもいい方法だと思います。
一口にリフォームと言ってもいろいろなケースがあります。具体的にどうしたいのか、不満や不便を洗い出し、イメージをしっかりふくらませてみましょう。
またある程度、基本的な知識を身につけることや情報収集はとても大切のようですね。楽しく快適な暮らしのために、理想のリフォームを目指しましょう
取材・写真協力
設計室 空 一級建築士 縣 孝二さん
長野市南千歳1-3-7 TEL.026-267-4224