取り壊してしまう前に、もう一度考えてみませんか?

古民家再生・移築再生
何世代にも渡り住み継がれてきた家、
家族の思いが刻まれた家には、
新しい家にはない味わいや木の温もりがあります。
また伝統ある民家は、地域の文化遺産でもあります。
そんな家を再び蘇らせて住み続けていこうという人が、
このごろ多くなってきました。
その魅力と具体的な方法についてお話を伺いました。
壊すしかないと思っていた家も、
もう一度考えて直してみませんか。

古民家再生・移築再生

何百年も生きる古民家の力

古民家再生・移築再生
何年か前までは一般的な家の寿命が約25~30年と言われていたなか、民家のなかには百年以上も住み継がれ、さらに手を加えることでもう百年も現役で使える家があります。
日本古来の素材や工法、そしてそれを建てた大工さんの技術が、生きているからです。
「本当にいいものがたくさんあったのに次々に取り壊されてしまいました。
数百年を経た家を見ていると、材の太さ、長さ、使い方、刻み…昔の大工の技術はすごいなあ、と思います。今の大工にはとてもできない。そういうすばらしい技が生きた家は、再生させることができるんです」。
自らも大工として40年以上家づくりをしてきた勝山建設の勝山要助社長は、 NPO法人民家再生リサイクル協会にも入り、積極的に民家再生に取り組んできた一人。
北信州の風土のなかで、数百年の歴史を刻んできた民家には、教えられることがたくさんあるそうです。
「昔は流通がなかったから、使用している木は全部地元の木。金物にも頼らず 、全部刻みを入れて組み込んで作る。壁だって庭の土を掘ってそれを足で踏んでこねて使った。だから、そこの風土にいちばん合った家になったんです。家の地産地消ですね」。
百年以上たった古材でも雨にさらされていなければ、十分使えるそうです。
使えるどころか、今後百年以上でも大丈夫。新建材では考えられない耐用年数です。

再生・移築・古材のリユース

古い民家のもつ素材の素晴らしさや魅力をどのように現代にいかしていくか・・・。
それにはさまざまな方法があります。
一つは、再生。勝山さんのようなプロにきちんとチェックしてもらい、大丈夫であれば再生が可能です。
度合いもいろいろですが、構造を残して全部壁を取り払い、土台の部分は新しくやり変えていきます。
もちろん、耐震補強や断熱など 、現代の技術も取り入れながら、柱や梁などはそのままいかしていく方法です。
もう一つは、移築。現在家が建っている場所でいったん解体し、それを別の場所に運んでからもう一度組み立てる方法です。
古い蔵を住居やお店に、都会での需要も少なくありません。
もうひとつは、古材を使って新しく家を建てる方法。真新しい洋風の家に黒い 梁を使うといったやり方も人気です。
「いま、これだけの材木を新しいもので集めようとしたって無理ですよ。それに、昔の大工は墨つけから刻みまで全部現場でやっていた。だから木のことをよく知ってます。その職人の技術が今や失われつつある。うちではカンナも研ぐし 、 ノミも使う。大工の技術も継承していかないとなりませんね」。
古民家を受け継いでいない人も、古材を使って新しい家を建てることもできるし、別の場所からの移築もできる。
まずは、再生についての情報をもっている大工さんや工務店、建築家を探すことからです。

再生・移築・古材のリユース

古いものの良さを見直そう

勝山社長は、お施主さんも大工さんも、町並みや景観を考え、日本にあった伝統の家づくりを大事にするべきだと考えています。
「今の家は果たして何年もつだろう。シックハウスの問題も、自然素材の土壁や珪藻土なら問題もない。何百年ももつ家は体にもいいし、風景にもなじんでいる。そういう風景が田舎の財産だと思う」。
新しいだけがいいわけじゃない。古い家のよさを見直し、手を加えながら住み 継ぐ楽しみと豊かさを、もっと多くの人に知ってもらいたいと言います。

取材協力
有限会社勝山建設
中野市草間874
TEL 0269-23-2266 FAX 0269-23-2267
http://www.katsuyama-k.com/

リフォーム・住宅再生

リフォームでの家の若返り

リフォーム・住宅再生
家のリフォームや建て替えを考える時期といえば、だいたい築20年~30年頃、 お施主さんの世代でいえば50代~60代。
家が必要になるのが子供が学校にいく30代ぐらいですから、20年ほどが経過すると子供が自立し、夫婦二人の老後の住まい方などを考え始める。
水回りや屋根、壁などもメンテナンスの時期を迎えるのも、ちょうどこの頃だそうです。
「建て替えるべきか、リフォームをするべきか、と迷って相談にみえる方が多いです」と答えてくださったのは、「新築そっくりさん」でおなじみの住友不動産 ・小山武芳所長。このところ、環境意識の高まりのなかで、リフォームを検討する方が増えているとか。
「20~30年前の家は今ほど基準が厳しくなく、耐震構造も心配な面もあります。 だからまず強い家にしたい、という希望があります」。
建て替えは、どうしても現状の家を壊さなければならず、大量のゴミが出ます。
今日まで暮らしてきた家が壊せばゴミになる。これはちょっと悲しいかもしれません。
現状の家を改造し、費用も抑えて、それで新築のようにできたら・・・。
「築30年の家は築30年の新築同様の住宅になります。それが当社のリフォームです」。
構造を強化し、もう一度新築の時と同じぐらい家を若返らせるリフォームの方法だそうです。

思いの詰まった家が残る喜び

構造的にリフォームの難しい家もありますが、木造在来工法の家なら、かなり自由度があります。
和室を洋室にする、部屋と台所を一つにして広いリビングにする、といった間取りの変更もできます。
「正直言って、ゼロから造る方が楽です。リフォームは新築より難しい。でも、 やる価値があります」。
阪神大震災のとき、社員の家の補強工事を手がけたことをきっかけに事業が立 ち上がった住友不動産は、まず何よりも耐震補強に力を入れているそうです。
見えない部分を補強する分高くなりますが、費用は新築の6~7割程。
それでも、新築では得られない満足の声が聞かれるそうです。
「私が小さい時使った部屋がこんなにきれいになった、とか。工事中もご近所の人が見に来て、新築みたいだね、と言ってくれたりするんです」。
住みながら工事をするので毎日の工事を見られるのも楽しい。長年住んできた 思い出の詰まった家が、もう一度若返っていくのは新築では得られない喜びかも しれません。
床下の基礎の部分からきちんとプロに診断してもらい、耐震補強などもきっち りと手を加え、希望の間取りにリフォームすれば、見た目も新築同様。もう一度家が蘇ります。

施工後
施工後
施工前
施工前

ちょこちょこ直すなら全部まとめて

今年はお風呂、来年は壁・・・というようにちょこちょこ手を入れるのは気楽にできる反面、結果的にはコストがかかってしまう場合もあります。まとめて一度に直した方が断然お得。
「耐震補強など、家の土台や構造から見直していかないと、本当に安心して長く住める家にはなりません。使える柱や梁はそのまま残します。そして何より思い出も残します」。
営業マンではなく、一級建築士などの資格をもった技術者が相談にのってくれ 、専属の棟梁が施工をする「新築そっくりさん」は、リフォームを超えたリフォーム。
「法隆寺や東大寺、善光寺さんなどをみてもわかるように、木はとても強い素材なんです。木が最高強度に達するのは伐採後100年以上たってから。と言われています」。
日本に生まれ日本で育った伝統の木造住宅は、思っているよりずっと丈夫ですぐれた建築工法のようです。
またリフォーム時のアレンジが自由なのにもびっく り。
「なじんだ家というのは年を重ねるほどいいものです。不便や不安なところを解消し、新築の感覚で、なじんだ家に暮らせる満足や安心感は、計り知れないものがあります」。
そろそろ日本もリフォームの時代です。
見た目だけ新しくするとか、つぎはぎに増改築を繰り返すのでなく、トータルに考えた「家の再構築」を考えていく時 がきているのではないでしょうか。

取材協力
住友不動産 新築そっくりさん 長野支店
●東信営業所●長野営業所●松本営業所●南信営業所